北京から北に向う。明十三陵を越え、慕田峪長城を越え、鉄壁銀山を越えさらにしばらく進むと山間の寒村にたどり着く。昌平区長陵鎮黒山寨村である。この周辺は緑が多く、水が清く、古来文人に愛でられた地区である。現在は延寿寺景区として知られている。
延寿寺は元末明初の創建であるが詳しいことは定かでない。伝によると、朱元章の軍師劉伯温はこの地を明皇帝の墓陵地とすることを進言したが、受け入れられず、南約10キロメートルの現在の明十三陵の地が選ばれた。劉はこの地を捨てがたく一座の寺院を建立し延寿寺と名づけた。6千平方メートルの敷地に12の殿堂が並ぶ壮大な伽藍であったが、現在は山門と本殿のみが残っている。
黒山寨村の外れで車を降り、約二キロの山道を歩く。先ず目に付くのは古松樹である。沿道にそって植えられた松の多さと古さから劉軍師の思いが伝わってくる。20段ほどの急な石段を登ると本殿の前に出る。右手に地を這うように伸びる老松樹、盤龍松である。樹齢800年とも500年ともいう。
本殿内には釈迦牟尼仏と最近カナダの信者羅道安から寄進された碧玉観間が祭られているのだが、どの仏像を指すのか不詳である。寺院の後山から湧き出る水は豊富で清く延寿霊水として知られている。中庭に龍の首が突き出し、口から水を噴出している。
後ろ山に登ると鳳凰松が体をくねらせている。住職の墓塔であろうか高さ2メートルほどの石塔が二座、雑木林の中に建っている。寺院の全面改修の話が進んでいると、中年の住職が期待をこめている。
住所:北京市昌平区長陵鎮黒山寨村
チケット代:35元
アクセス:市内345路昌平北駅までに乗る、九渡河長距離バスに乗り返る
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