昆明湖は「長河線」の起点にもなっている。長河は、金の時代に開拓された用水路で、これまで北京の人々の生活用水を供給してきた。元の時代には、この用水路を船が航行していたが、それは皇室専用であった。近代になると長河は衰退し、川幅はひと飛びで渡れるほど狭くなった。最近、これを改修しようとした際には、専門家の意見を入れて、なるべく元の時代の姿のまま、川が流れるようにしようということになった。
今回は長河線を下ってみよう。遊覧船はまず古麦鐘橋をくぐる。昔の橋はすでに壊れ、今は河床に、昔の橋の基石だけが残っていて時の流れを感じさせる。今の橋は、昔の橋の面影を残して新しく架けられたものだ。
【万寿寺】万寿寺の甍が見えてくる。ここは現在、北京芸術博物館にもなっている。明の万暦五年(1577年)に建立された皇室専用の寺院である。歴代皇帝が大規模な増改築を繰り返してきたそうだ。寺院と行宮と庭園が一体となっていて、博物館に収蔵されている文化財は5万件を超える。
【紫竹院公園】船は紫竹院公園の中をさらに進む。紫竹院の湖は、元代の水利専門家である郭守敬が作った貯水湖で、明代には紫竹院という廟が建てられ、清代になって皇帝の行宮として使われた。西太后が頤和園に出かけるときには、ここで船を停め、しばし休憩したという。公園内はいろいろな珍しい竹があることで有名なところだ。
【中国国家図書館】さらに進むと、中国国家図書館が巨大な姿を現す。1986年に建てられた中国最大の図書館である。蔵書は2000万冊を超える。
【真覚寺】船は真覚寺の脇を進む。明代の1473年に建立された金剛宝座塔は高さ8メートル。上部に五基の小塔を頂いていることから「五塔寺」と呼ばれている。境内には、さまざまな石刻文物五百余件を集めた石刻芸術博物館がある。
【北京動物園】真覚寺の向かいは北京動物園。ここは清朝時代、皇室の花園だったが、清の末期には農業試験場になり、その一角に「万牲園」が置かれた。これが発展し、動物園となった。北京動物園は中国で最初に開設された最大の動物園である。飼育されている動物は500種以上、5500匹以上いるという。
【北京海洋館】動物園の隣に北京海洋館がある。1998年に開設され、千種以上の魚類が飼育されている。海底トンネルで海の底の世界を擬似体験することができる。
【高梁橋】さらに進むと、高梁橋にさしかかる。この橋は元代に造られた門の上に清代に建設された。西太后はここから小さな蒸気船に乗って頤和園へ出かけていったという。
【北京展覧館】終点は北京展覧館。1954年にソ連の援助で建てられただけに、ソビエト風の色彩の濃い建物である。この建物の中に有名なロシア料理屋「モスクワ餐庁」がある。
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