南鑼鼓巷は、最近道がレンガで綺麗に舗装され、胡同の乱雑さが見違えるように綺麗になって、ますます観光地化されてきたようだ。私は、外国人が訪れるようになって初めて観光地と言えるのではないかと、勝手に思っているのだが。行ってみたら確かに南鑼鼓巷には外国人が大勢来ていた。
南鑼鼓巷は中国人より、むしろ外国人向きの観光地かもしれない。何故なら中国人がわいわいがやがや食べるレストランは少なく、外国人が静かにコーヒーを飲むようなところが多いから。胡同の古い建物を改造して作ったレストランや、コーヒーショップがたくさんできていた。ところで会社の北京人に、南鑼鼓巷を知っているかと聞いてみたら、そんな小さい路地のことなんて、誰も知らなかった。観光客の方がよく知っているかもしれない。やはり外国人向けか、一部の若者の中国人だけがくるところかもしれない。
南鑼鼓巷は、鼓楼東大街を鼓楼から東に500m位行ったところから始まる。また地安門東大街から北に入っても南鑼鼓巷に入れる。つまり南鑼鼓巷は、鼓楼東大街と地安門東大街の間を南北に走る道である。南鑼鼓巷は、ここをのんびり散歩していると、喫茶店でコーヒー飲みながら一休みするとか、スパゲッティーを食べるためにレストランに入るとか、そんなこともしたくなるところである。日本語の張り紙もあった。
ところで、南鑼鼓巷にはおしゃれなコーヒーショップがあるのだが、そのすぐ横には、観光客には想像すらできない驚くべき生活があることに、多くの観光客は気が付いていないと思う。それは古い四合院がであったところが、大勢の所帯が雑居する「大雑院」になっていることである。狭い空間に大勢の人が、小さい違法建築を作って住み着いているのである。それは道に向かって開いている小さな門の奥の世界である。それがおしゃれなコーヒーショップのすぐ隣にあるのである。
その小さな門の中にはなかなか入り難いだが、門の中の上のほうに、電気のメーターが10個も20個も並んでいるところが、別世界への入り口である。この門の奥の狭い空間に、電気のメーターの数だけの所帯の人が、密集して住んでいるのである。このような空間を「大雑院」と言う。「大雑院」の中は文字通り大混乱、大混雑の状態だと思うが、南鑼鼓巷に向かって開いている「大雑院」の門は、門だけは綺麗に改装されていた。門を綺麗にしたのは、市から強制されたのか、それとも市がお金を出したのか?そんな事もあって、門の奥に「大雑院」があることは、観光客には殆ど分からないだろう。
南鑼鼓巷は南北の道だが、南鑼鼓巷から東西に細い路地が何本も伸びている。その路地は胡同と呼ばれ、その胡同の名前はなかなか趣があって、面白い名前がある。例えば黒ゴマ胡同、炒り豆胡同、帽子胡同、蓑衣胡同、綿花胡同、菊胡同とかである。今では「大雑院」になっているところが多いが、名前からは歴史を感じさせる街である。
大雑院の中では、トイレが無く、今でも暖房や煮炊きには練炭が使われている。初冬の今の時期には、南鑼鼓巷にも、そこから東西に走る胡同にも、練炭売りがリヤカーで練炭を売り歩いていた。
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