円明園は北京市西郊の海淀区に位置しており頤和園と隣接している。清代の康熙帝の46年（1707年）に造営が始まり、園明園、長春園と綺春園からなる。総面積は350ヘクタールで、その中、水面の面積は140ヘクタールである。庭園景色が百所余りある。建築面積は16万㎡を超えている。それは清時代の皇帝が150年あまりをかけて創建し、経営した大型の皇家庭園である。

　円明園は中国の優れた造園伝統（3000年あまりの歴史がある）を継承した。宮廷建築の鷹揚もあれば、江南庭園の婉曲もある。同時にヨーロパの庭園建築形式も吸収して多種の建築風格を融合した。総体の分布は調和で完璧とも言えるだろう。「人の手によって作られているが、自然を感じる」と言ってもよい。

　円明園は庭園で知られているばかりでなく、豊かな収蔵品を持つ皇家博物館でもある。「もし我が国のノートルダム寺院のすべての宝物を加わえられても、その煌びやかな東方博物館にも及ばない」とフランス作家のユーゴは言った。各殿の中に数えられないシダン木製家具が飾られていて、国外内の稀な文物が陳列されている。中の文源閣は全国四大蔵書楼の一つであって、「四庫全書」「古今図書集成」「四庫全書荟要」などの貴重な書物や文物などが所々に隠れている。

　不幸なことに、1860年10月、この名園は英仏連合軍によって破壊され、略奪された。それ以来、度重なる破壊や略奪の繰り返しによりとうとう廃墟になった。血と火の洗礼を受けた円明園は中国近代史の歴史書であるとも言える。人々を驚かせる価値を持っている。

　円明園の火事：清の咸豊十年（1860年）に英仏連合軍は北京を占拠した後、10月6日に円明園を襲撃した。中国の防衛軍は敵の数が多く、多勢に無勢で敵わなかったため、円明園の管理大臣――文豊も万策尽きて福海に飛び込んだ。英仏連合軍による破壊と略奪が二日にわたって続き、ついに侵略者は城内に侵攻し始めた。10月11日、英軍は騎兵1200余人と歩兵一連隊を派遣して再び円明園を略奪した。イギリスの代表者ジェームズ．ブルースは清政府が巴夏礼などを円明園に拘禁したことを口実にして円明園の焼却を和平交渉の先決条件に入れた。

10月18日、3500名の英軍が円明園に突入し、円明園に火をつけた。三日にわたる大火で円明園及び近くの清漪園、静明園、静宜園、暢春園と海淀鎮がすべて廃墟となった。安佑宮の宦官、女官、職人が約300人、この火事で亡くなった。この世界の文明史上稀にみる暴行は中国文化に大きな災難をもたらした。

　円明園はかつては大きな規模、優れた建造技術、豊な文化収蔵、長い歴史などで世界に名を馳せ、「造園技術の模範」と「万園の園」と呼ばれていた。血と火の洗礼を受けた円明園は中国近代史の歴史書であるとも言え、人々を驚愕させる価値を持っている。

チケット代：10元

住所：北京市海淀区清華西路28号

開放時間：7：00ー20：30アクセス：バス365、432、498、656、664、717、743、814、982、963、特4、運通105、運通205路線を東門で下車。バス319、320、331、432、438、498、628、690、697、696、801、826、特6路線を南門で降りる。