今後、万里の長城はどんどん開放エリアが増やされていく予定。現在修繕中の懐柔河防口エリア長城は今年中にも開放される予定。今後開放される長城は、これまでの長城に登って観光する形式ではなく、遠方から眺めるのみ、というスタイルが主流になりそう。

北京市文物局は以下の説明によると、明代長城は北京に526キロに残っており、そのうち388キロは人工的に修復され、未修復の危険な壁は138キロあるという。その内、開放エリアとされている長城は約30キロ。これには八達嶺、慕田峪、司馬台、居庸関など観光地が含まれる。観光地の接待客数は年々増加、負担過多の状態となっており、次第に未修復長城が観光客の新しい目標となりつつある。無秩序によじ登られた部分は崩れ落ちるなどし、近年、長城の破損は激しい問題となっている。

市文物局の局長の意見は厳しい。「長城の大部分は、くねくねした山間にあり、登るには危険。対外開放にも適していない。現状を保護し、長城の美観を守るため、人工的な破損は阻止したい。よって北京市長城は全面的に観光客には開放しない。新しく開放するエリアは出来るだけ代表性のある地域に限定し、文化局としては出来るだけ観光客に満足してもらえる環境作りに努力したい。」と語っている。

具体的には長城脇に木製の桟敷を設置するなどして、旅行客が近くに寄って長城文化を鑑賞できるよう工夫するといった案。現在修復中の懐柔河防口エリア長城は、対外開放がほぼ決定されている。このエリアの長城は明代に北斉長城を基礎に修復建築されたもの。歴史が長く、多くの敵台と敵楼の形がなくなっている。昨年から修復工事が開始されている。

北京エリアで一回の修復において最大規模の修復となるのは雁栖湖畔。その他、懐柔区黄花城長城、西水峪長城の修復案が作られているところ。また箭扣長城も保護性修復計画にあげられており、今後対外開放される可能性が高い。懐柔区には全部で65.5キロの長城があり、中でも箭扣長城は険しいことで有名。