切り絵、中国流にいえば剪紙となるが、彫り物、陶磁器など中国の旅の帰りのお土産は豊富で多彩である。大量生産のものもあるが、手作業で一つ一つ丁寧に作られているものも多いようだ。今回紹介する「北京京城百工坊」は、まさに民間芸術、伝統技術が凝縮した世界である。
大型活動弁公室の王主任によると、京城百工坊は2003年11月に、古い工場の建物を再利用してオープンした。工坊は、日本語では「工房」が当てはまるようだ。北京に伝わる民間芸術、工芸品の師匠さんや職人さんが勢揃いしているというわけだ。その中でも、中国工芸美術大師という肩書きを持つ人が、北京には100人ほどいるそうだ。
この建物の中は30室ほどに区切られている。「葫芦坊」、瓢箪(ひょうたん)のことである。ひょうたんは、水や酒を飲むグラスとして使われたり、水をすくう生活の道具だった。乾燥した表面に絵を書き、飾り物として、珍しい民芸品になっている。この部屋には、たくさんのひょうたんがぶらさがっていた。 「泥人形坊」。これは泥で作る人形や動物類の制作室である。京劇の役者の顔面を並べた人形もここで作られていた。
「象牙彫り坊」。よく置物として見かける象牙の彫り物だが、綿密な下絵、つまり設計図によって彫り上げられていく。ガラス製品を手がける「料器坊」、トラやパンダなど中国おなじみの動物の縫いぐるみを作る部屋もあった。切り絵の部屋「剪紙坊」は、にぎやかな色彩に溢れている。
それぞれの坊では、商品の即売もしている。おそらく、町のデパートやホテルのお土産コーナーより、遥かに安く、いいものが手に入るだろう。百工坊そのものの入場料は必要ない。古い建物を利用した博物館と紹介したが、オリンピックに向け改築が決まっている。そのときには40000平方メートルと、今の3倍以上の規模になるそうだ。
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