元、明、清と三代にわたって北京の人たちに時を告げつづけた場所、それが鐘楼と鼓楼だった。鐘はゴーンという鐘、鼓はドン、ドン、ドンという太鼓である。
鼓楼には一つの大太鼓と24の小太鼓がある。昔、中国では、2時間をひとくくりにして「更」と呼んだ。水時計が正確な「更」を告げると、これを聞いた太鼓の打ち手25人が、リーダーの指示のもとで太鼓をたたくのだ。そして、鐘がつかれる。太鼓と鐘、合わせて108回、これら「更夫」と呼ばれる人たちで、市民に時間が伝えられたのだ。複製品だが、水時計も鼓楼には残っており、30分に1回で、太鼓の実演を見ることもできる。
太鼓と鐘の音は、いまの前門あたりまで伝わったといわれるから、まさに都のシンボルだったのだろう。ところで「更夫」さんたち、うっかりして太鼓をたたくのを忘れたりしなかったのだろうか。文物保管所の朱英麗さんに聞いてみたら、「記録にそんなことが残っていませんが、みんな大きな使命感を持っていたはずですよ」とのこと。
さて、108回の鐘と太鼓と聞いて思い当たることはないか。日本では新年を迎えるに当たって、108回の除夜の鐘をつく。この108回の根拠を、朱さんが説明してくれた。簡単に言えば、一年のことだ。一年には12ヶ月あり、春分、秋分など24の節気があり、そして5日を一候としてくくると、年に72候になる。この12、24、72を合計すると108になるのだ。
日本の除夜の鐘の108は、人間の持つ煩悩、それが108あって、これを払いのける、と理解されているようだ。
鼓楼に登るには体力が要る。階段があまりに急なのだ。焦らず、一段、一段登っていくのがコツ。しかし、たどりつけば、真下には四合院と胡同、遠くにはビル群、古い北京と新しい北京が広がる。鐘鼓楼見学の後は、人力車に乗って胡同めぐりすることをお薦め。
住所:北京市東城区鐘楼湾臨字9号
電話:010-84027869
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