北京にきれいな紅葉の並木道がある。それは大使館街の中にある。大使館街は日壇公園の周りや三里屯、空港に近いところなど数箇所に分かれているが、私の知っている綺麗な並木道は、日壇公園の周りの大使館街である。しかし三里屯の大使館街のほうも、様々な種類の並木があって、綺麗なのだとか。
実は以前から、日壇公園の周りの街路樹は、秋になると綺麗になるのではないかと思って、写真に撮りたいと狙っていたのである。先日、そこに行って見ると、銀杏の木が真っ黄色に紅葉していてきれいであった。そして静かであった。
静かな並木道に落ち葉がはらはらと散る風景があれば、散歩でもしているカップルがいそうなところである。しかしそんな人は誰もいない。この綺麗な紅葉の写真を撮っている人もいない。これはミステリーである。北京の新聞は、紅葉の名所は北京の西の香山(香山は昔から紅葉の名所である)だとか言っているが、あそこに行って、紅葉が綺麗だったと感激する人は少ないと思う。しかし釣魚台前の銀杏並木については報道していたから、北京の新聞の審美眼がまるっきりいいかげんだとは言えない。新聞に載っていたので釣魚台前の銀杏並木には土曜日に行ってみたが、確かに綺麗だった。写真を撮っている人も大勢いた。
しかし、大使館街のほうの銀杏並木では、写真を撮ってる人は誰もいない。やっぱりこれは謎である。ミステリーである。もしかしたらここは北京で一番綺麗な並木道かもしれないのである。日壇公園の前の道は楓の並木があり、東側には銀杏の並木があった。楓の並木のほうは少し盛りを過ぎていたが、銀杏のほうは真っ黄色の紅葉の最盛期だった。太陽を紅葉の向こうに置いてみれば、紅葉の黄色や赤の葉がフィルターとなり、更にきれいであった。
ここに実際に行って見ると、人が少ない謎が、ある程度は分かる。ここは大使館街であるため、武装警察が警備しているからである。確かに武警の前をカップルで手をつないで歩くのは歩きづらい。しかしもっとミステリーなのは、新聞やテレビがここが綺麗だと一切報道しないことである。たぶん報道していないと思う。だから人が来ないのだろう。実際にここで写真を撮ろうすると、武警から阻止させられる。多分、武警の写真を撮ることはだめだと言うことらしい。
武警の写真を撮ることが禁止であったとしても、禁止だということを知らせた上で、ここが綺麗だと紹介してもいいのではないだろうか。ただし、武警はあちこちにいるから紅葉の写真を撮ろうとすると、どうしても写真に入る可能性が高い。しかしなぜ武警の写真を撮ってはいけないのだろうか、これも不思議の一つである。
実は大使館街の中にある日壇公園も紅葉もまた綺麗なのである。しかし多分ここも新聞で紹介していないと思う。入場料は一元の上に、紅葉がとても綺麗なのだから人がもっと多くてもいいはずである。しかし人が少なく、却って外国人が多い公園である。日壇公園の中の撮影であれば、何の問題も無いはずである。しかし公安当局としては、大衆を信頼してないからなのか、やはり大衆をここに近づけたくないのだろう。そのような当局の意向を受けて、テレビも新聞の報道しないのだろう。そしてなぜか理由は分からないが武警の写真は撮らせたくないようである。やはり中国は謎の多い国であり、新聞は当局の意向に対しては物分りがいい国のようである。そのおかげでここが、綺麗な並木道なのに、人が少ないというミステリーゾーンとなっている。
季節も銀杏の紅葉の時だけではなく、若葉の頃もいい。並木の木の種類もいろいろとある。先に書いた楓もあるし松の木もある。中国に多い楊樹、柳、えんじゅの並木もある。唐松の並木もあったかもしれない。針のような葉が、ハラハラと落ちるのもまたいい。
こういうところを散歩してみてみたいと思うのは何も私だけではなく、日本人の中の何%かの人は、私と同じように考えるのではなかろうか。ところがここを散歩している中国人をあまり見かけない。もちろん、ここに武装警察が居て、報道がされないという理由もある。しかしそれでもここを散歩する人がもっといてもよさそうに思うのだけれど。そういえば、中国のカップルというのは、全く回りのことが目に入らないようで、多分並木道のことなんか、はなからどうでもいい事なのだろう。中国人のカップルというのは・・・・・、いやこの話は、謎の並木道とは関係ないことなのでやめておこう。
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