東交民巷は、古い北京を知っている人、特に外国人にとっては懐かしい地名。解放前、この地区には外国の大使館などが集中していた。簡単に場所を説明しましょう。長安街をはさんで、王府井と反対側の通り、これを東の方へぶらぶら歩いていくと、10分ほどで左手に古い教会が見えてくる。この東西の通りが、東交民巷である。西へ抜ければ、おなじみの天安門広場。 中心部に位置しながら、静かで緑が多く、車もあまり入り込んでこないため、散策にはうってつけの場所でもある。北京警察博物館はここにある。たずねてみると、風格のある古い西洋建築である。
20世紀のはじめ、アメリカのシティバンク北京支店として使われた銀行の建物だった。一般公開が始まったのは、2001年7月だから、比較的歴史の浅い博物館である。同じような性格の博物館は上海にもあり、上海公安博物館として1999年にオープンしている。
建物は地下1階、地上4階建て。2000平方メートルに1500点ほどが並んでいるが、収集したものは、1万点を超すそうだ。1階は吹き抜けのホールになっており、大きなモニュメントが飾られている。中国の警察制度はヨーロッパから取り入れたものが基本になっているそうだ。そして、警察とは呼ばず、公共の安全、つまり「公安」と呼ぶのが普通。街中を走っているパトカーに「公安」の二文字を見つけた人もいると思う。
「公安」の受け持ち分野は、日本の警察よりかなり広範囲である。殺人や強盗といった犯罪捜査から、交通事故の処理や取締り、車のナンバープレート管理、消防、市民や長く住む外国人の戸籍簿管理なども「公安」の仕事。
博物館は4つのコーナーに大別される。まず歴史編。1949年10月1日、新中国が成立した。ここでは、この天安門での成立式典にだけ、警察官が着た黄色の制服が目についた。「逮捕証」とか「捜索証」といった普段お目にかかれないものもある。次は刑事警察のコーナー。一般の犯罪捜査である。泥棒はどこの国にもいるもので、漢の時代の泥棒対策の鋭いぎざぎざがついた屋根瓦に興味が注がれた。そして、公安の仕事の紹介、装備や制服の展示と続いていく。犯罪や防犯の動きだけでなく、この博物館で北京市民の生活ぶりを別の面から知ることができる。この貴重な建物も価値がある。古い階段、いまは使われていないエレベーターなど見所いっぱい。
住所:北京市東交民巷36号
電話:010ー85225001
入館料:大人10元。月曜は休館
|