北京が一番きれいな季節はいつか?それは間違いなく春である。北京に春の花が咲き出すとこれは綺麗である。一番初めに咲き出すのは、梅のような、地味な一重の花(花の名前は分からない)で、この花は、すぐ散ってしまう。その次に咲き出すのが木蓮の花だろうか。これは中国語で玉蘭と言う。木蓮が咲き出すのは3月末頃である。同じ頃にレンギョウも咲き出す。これは迎春花と言う。まだ気温が少し寒い早春に咲き出し、春を迎えるにふさわしい黄色い花である。
同じ頃、柳の葉の芽生えが始まり、柳の細い枝が色付いてくる。すると柳全体が薄ぼんやりとした淡い緑色の塊になってくる。4月初めの頃の柳の葉はまだ疎らであって、その新緑の葉の隙間を通して、その向こうに、中国風の赤い建物などが見える構図はなかなかのものである。北京の公園には柳が多いので、多くの公園で柳の新緑が美しい。例えば、大観園公園とか日壇公園とかなどである。
4月になると花桃が咲き出す。これは中国語では碧桃と言って八重の桃の花のような、濃いピンクの華やかな花である。この花が一塊になって咲くさまはとてもきれいである。いかにも春がやって来たという感じになる。木蓮が咲きだすころはまだ肌寒いが、碧桃が咲き出すと、もうほんとうの春といった感じで、ぽかぽか陽気の頃となる。
しかし花の盛りがいつなのかは、北京にいてもなかなか分からない。北京の新聞を毎日見ているが、日本の新聞やテレビほどには、花の盛りの報道を詳しく報道しないようである。昨年は3月30日に北京郊外の北京植物園に出かけた。このときは木蓮の花も碧桃も真っ盛りであった。しかし今年は4月5日に中山公園に出かけたが、碧桃の花はまだであった。今年は少し花の時期が遅れているらしい。そうであっても4月の初めの頃は、早春の花が咲き出していて、北京植物園でも中山公園でも花が奇麗である。
北京の花の盛りを見る為には、情報が少ないので、毎週出かけて、足で情報を集めなくてはならない。4月5日の次の週(4月14日)には玉淵潭公園に出かけた。ここには桜あることで有名である。でもなかなか桜が見つからなかった。どうも北京では気候が合わないのか、北京の桜の木は小さい。日中国交回復の時、中国に送った木であることからかなり前に植えられた木のはずである。この花が桜かと中国人に思われるとちょっと心外である。桜の花というのは見上げるくらいに大きく、そして見あげてもその向こうの空が見えない位に、たくさんの花びらをつけて咲くのが桜と言うものである。中国の桜はこの様にはならないらしい。八重桜はこれからのようであった。
ちなみに中国では桜を桜花といい、桃も桃花という。中国語では一字では収まりがつかないようである。梅も梅花といって同じく二字になるが、北京では梅を見かけなかった。実は北京から北の方の人は、梅も竹も見たことが無い人が多い。その方面の地方には梅も竹も無いからである。ただし北京には竹があって、竹紫苑などが有名である。以前中国の東北の人を成田公園に連れて行って、梅を見せたら、始めて見たと言っていた。
玉淵潭公園に行った次の週(4月20日)に、また中山公園に行った。この頃は、チューリップ、リラ(ライラック)ジャスミン(多分)、遅咲きの花桃(碧桃)などが真っ盛りであった。中国語ではチューリップを郁金香、リラを丁香という。リラの花は薄紫又は白い小さい花で、名前の通りいい香がする。北京あたりでは木が2,3メートルの大きさになるが、東北地方の吉林で見たリラは、雪で押しつぶされて、ひしゃげて1メートルも無い低い木だった。その為、目立たないのであるが、そのにおいが強いので、その存在がすぐ分かった。北京のリラは背丈は高いが、匂いはずっと薄いようである。しかし北京にもリラの花は多い。
周りの人に聞いて無いると、どうも中国では本物の牡丹を見たことのある人は、意外に少ないようである。牡丹があるところは有料の公園の中にあるのが原因かも知れない。中国では無料の公園が極めて少ない。大体が有料で、花が咲き出すと入園料が値上がりしたりする。中国では金を惜しんでは牡丹を見られないということである。
牡丹は大観園とか陶然亭などの大きな公園にあるが、牡丹で一番有名な公園は景山公園である。その理由は牡丹の木が多いこと、古い牡丹の木もあることであるからである。景山公園には例の皇帝(明朝の最後の皇帝?)が首を吊った景山と言う低い山があって、その周りに牡丹が沢山ある。
牡丹の花はあちこちの公園にあるのであるが、牡丹の花の盛りを見るのはなかなか難しくて、北京に来て三年目の今年になって、ようやくこの花を一番いい状態で見ることができた。4月の27日に中山公園(今年は三回目)と景山公園に行って牡丹を見てきたが、この時は最高にきれいであった。中山公園は故宮の西側の公園で、景山公園は故宮の真後の公園である。
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